ビター × スイート
遠慮のない2人のやり取り。

それが逆に好印象で、なんだか微笑ましいものがある。

多分、すごく仲がいいんだな。

・・・なんとなく、この人たちなら大丈夫かも。

話さないと四宮さんは納得しない気がするし、もう、二度と会わない人たちだろうと思うから。

ーーーうん。もういいや。全部話してしまおうか。

そう思い、私は、麻生さんにも聞かせるように、今日、朝起きてからの「ツイてないエピソード」を順に話した。

「・・・で、酔っぱらって、走ったんですけど終電にも乗り遅れてしまって・・・。そこからはあんまり覚えていませんが・・・、眠気もすごいし疲れてて、そのままベンチで眠ったんだと思います・・・」

改めて話すと恥ずかしい。

本当に私は何やってんだ・・・。

そしてなにより、四宮さんに申し訳ない気持ちがこみあげる。

「すみません・・・。四宮さんには、色々とご迷惑をかけてしまって」

「・・・そうだな。今後は気をつけろ」

「はい・・・」

「何かあってからじゃ遅いからな。君は不用心にもほどがある」

「はい・・・、本当にすみません・・・」

「・・・・・・、けど、まあ・・・、それほどまでに飲みたくなった、君の気持ちがわからなくもない」

「・・・え・・・?」

そこで私は驚いて、うつむいていた顔を持ち上げた。

四宮さんは、琥珀色の液体を、ぐいっと喉に流し込む。


(わからなくもないって・・・、私の気持ち、四宮さんにもわかるってこと・・・?)


あまりにも、意外な言葉だったから。

その続きを促すように、私は四宮さんの顔を見た。

「・・・なんだ」

「あ、いえ・・・、私の気持ちがわかるって、ちょっと意外だったので・・・」

朝からの、私の「ツイてないエピソード」。

四宮さんは遅刻しそうとか眉毛とか、細かいことを気にしなそうな気がするし(そもそも眉毛は描いていないっぽいし)、仕事のミスも少なそうだし、ましてや彼女に浮気された経験なんてなさそうで。

見た目はだいぶ怖いけど・・・、背は高いしかっこいいことだけは間違いないので、かなりモテそうだなと思うから。

「・・・それは、『男にはどうせわからねえだろ』的なアレか」

「い、いえ!そういうわけではないんですけど・・・」

「あー・・・、のあちゃんのあちゃん、コイツこんなイカツイし、コワモテだけど、意外と繊細な奴だから。彼女に浮気されたこともあるしなあ」

「え!?そうなんですか!?」

「・・・そうだ。って、麻生、おまえはベラベラしゃべるなよ・・・」

言いながら、四宮さんが麻生さんを睨んでる。

麻生さんは「はいはい」と軽く受け流し、にこにこしながら私に話しかけてくる。
< 8 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop