各務課長が「君の時間を十分ください」と言った結果
長いコール音に鼓動が不穏に波打つ。スマホを持つ手が震えている。
もしかしたら電話にも出てくれないの?
そう思ったとき、コール音が止まった。
つながった!
「慎士! 今どこ⁉ さっきのって冗談だよね⁉」
スマホの向こうから返事がない。
「なんとか言ってよ。もしかしてこの前、仕事上がりの食事を断ったせい? せっかく誘ってくれたのに悪かったと思っているわ。でもあの時はどうしてもその日中に終わらせないといけない仕事があって」
焦って弁解していると、スマホの向こうから「はあー」と盛大なため息が聞こえてきた。
「本当にごめんなさい。今日はそのお詫びも兼ねて色々考えてきたの。あっ、お弁当もあるのよ。慎士の好きなおかずを作って――」
『いらねえ』
「え……」
『誰がそんなもん食うんだ。おまえの料理、まずすぎんだよ』
彼の言葉がグサリと胸に突き刺さった。
彼の言う通り、私は料理が下手だ。〝お腹が膨れればいい〟という程度なら作れるけれど、繊細な味付けや見映えが必須なメニューになると、まったくうまくいかない。けれど彼はそういう類の料理を私に求めてきた。
「私だって、少しでもましになるよう一生懸命がんばってるわ。それはわかってもらえないの?」
苦手なものを克服したいと思えるのは、ひとえに彼を喜ばせたいからだ。それなのに彼本人には伝わっていなかったのだと悲しくなってくる。
もしかしたら電話にも出てくれないの?
そう思ったとき、コール音が止まった。
つながった!
「慎士! 今どこ⁉ さっきのって冗談だよね⁉」
スマホの向こうから返事がない。
「なんとか言ってよ。もしかしてこの前、仕事上がりの食事を断ったせい? せっかく誘ってくれたのに悪かったと思っているわ。でもあの時はどうしてもその日中に終わらせないといけない仕事があって」
焦って弁解していると、スマホの向こうから「はあー」と盛大なため息が聞こえてきた。
「本当にごめんなさい。今日はそのお詫びも兼ねて色々考えてきたの。あっ、お弁当もあるのよ。慎士の好きなおかずを作って――」
『いらねえ』
「え……」
『誰がそんなもん食うんだ。おまえの料理、まずすぎんだよ』
彼の言葉がグサリと胸に突き刺さった。
彼の言う通り、私は料理が下手だ。〝お腹が膨れればいい〟という程度なら作れるけれど、繊細な味付けや見映えが必須なメニューになると、まったくうまくいかない。けれど彼はそういう類の料理を私に求めてきた。
「私だって、少しでもましになるよう一生懸命がんばってるわ。それはわかってもらえないの?」
苦手なものを克服したいと思えるのは、ひとえに彼を喜ばせたいからだ。それなのに彼本人には伝わっていなかったのだと悲しくなってくる。