各務課長が「君の時間を十分ください」と言った結果
園内の通路をしばらく行くと建物が見えてきた。ホテルだ。
公園の広大な敷地内にはホテルもある。彼は私の手を引いてどんどんそちらへ近づいている。
ふたりになれる場所ってまさか……。
恋人役は引受けたけれど、それはお見合い相手撃退のためで、本物になったわけじゃない。
もしかして本気で私が誘っていると思われてる⁉
でもあの〝各務尊〟だよ⁉ 会社のどんな女性が誘ってもにべもなく断っている彼が、私ごときがちょっと『ふたりきりに』とか言っただけでその気になるわけないじゃない。
いくらプライベートは会社とは違っていても、付き合ってもない女性をホテルに連れ込んでどうこうしようなんてありえない! 自意識過剰もいいところだわ!
とは思うものの、ホテルの一室でふたりきりという状況自体に不安感を抱いてしまう。
「あのっ、私さすがにっ――」
『ホテルは無理です!』と叫びかけたところで、ホテルの入り口を通り過ぎた。
あれれ……?
エントランス素通りにぽかんとしているうちにも彼の足は止まらない。
な、なあんだ。私ったら、変な勘違いをしてひとりで焦って……。
恥ずかしすぎて顔が熱くなる。うつむいたまま、手を引かれるまま黙々と歩く。
「さあ、着いたよ」
声と共に彼の足がピタリと止まった。顔を上げて目を見張った。色とりどりのゴンドラが空に向かって昇っていく。
「観覧車?」
「ああ。ふたりきりで話をするにはちょうどいいだろう?」
「え、ええ……」
公園の広大な敷地内にはホテルもある。彼は私の手を引いてどんどんそちらへ近づいている。
ふたりになれる場所ってまさか……。
恋人役は引受けたけれど、それはお見合い相手撃退のためで、本物になったわけじゃない。
もしかして本気で私が誘っていると思われてる⁉
でもあの〝各務尊〟だよ⁉ 会社のどんな女性が誘ってもにべもなく断っている彼が、私ごときがちょっと『ふたりきりに』とか言っただけでその気になるわけないじゃない。
いくらプライベートは会社とは違っていても、付き合ってもない女性をホテルに連れ込んでどうこうしようなんてありえない! 自意識過剰もいいところだわ!
とは思うものの、ホテルの一室でふたりきりという状況自体に不安感を抱いてしまう。
「あのっ、私さすがにっ――」
『ホテルは無理です!』と叫びかけたところで、ホテルの入り口を通り過ぎた。
あれれ……?
エントランス素通りにぽかんとしているうちにも彼の足は止まらない。
な、なあんだ。私ったら、変な勘違いをしてひとりで焦って……。
恥ずかしすぎて顔が熱くなる。うつむいたまま、手を引かれるまま黙々と歩く。
「さあ、着いたよ」
声と共に彼の足がピタリと止まった。顔を上げて目を見張った。色とりどりのゴンドラが空に向かって昇っていく。
「観覧車?」
「ああ。ふたりきりで話をするにはちょうどいいだろう?」
「え、ええ……」