ナルシストと恋は de キュン!





 やっぱり美柑ってこと。
 でも、美柑の気持ちはどうなの?
 尊敬と恋は違う。

 ――いや、そんなことはない。
 親友はきっと。

「ううん、雛子。きっと違うよ」
「――えっ?」

 私の心を見透かしたように親友はこちらに向かって微笑んだ。

「下僕3号よ、この下僕299号を連れて帰りたいのだが?」
「君の頼みなら別に構わんよ。教頭や他の先生には儂がうまく説明しておくよ」

 下僕3号とは訳有高校の校長先生。
 そして、下僕299号とはド派手に大量の写真をぶら下げたこの(クスノキ)のこと……。

 どうやって、連れて帰るの?
 ってか、なぜ木を連れて帰る?

 色んな疑問が次々と脳内で噴き出るが、周囲の鳴雄信者(ファン)の皆はただ笑い転げている。――正直、理解しようとするのが無理な話。

 重大な発表が終わり、終了時間が来たので、学校から撤収する時間になった。
 鳴雄の方は、皆に人気がありすぎて、ひと言も会話することなく、お開きとなってしまった。

 ――次の日。

「うぉ、マジで?」

 楠が根っこからことごとく消えていた。
 三角コーンとトラロープで囲われていて、吊り下げられた看板に「枯れ木のため、植え替え中」と書かれていた。――んな訳がない。たしかに入学したての頃は元気がなかったが、ここ最近は緑でいっぱいだったのに。

 そして、教室に行くと、オネエ先生から鳴雄が、期限未定のまま、おやすみになると朝のHRの時間に説明があった。






< 104 / 106 >

この作品をシェア

pagetop