ナルシストと恋は de キュン!
知っていそうな男の子に厳しい目を向けたもう一人の子が、そっけない態度でもう一人を急かして、逃げるように帰っていった。
それから、さらに聞いて回ったが、最初の小学生の子達以外は鳴雄サマを見かけたという人物は現れなかった。
「――という話を聞きました」
「えのふち……あった! ここ穢淵村って」
美柑の話をすかさず弟君が、スマホを使って地図サイトから村の名前を検索した。地図上では今いる場所から十数キロも離れた山の中だった。
「穢淵村? さあ、聞いたことがないね~」
「そうですか、ありがとうございます」
村の名前を周囲を歩く人に聞いてみたが、知らないと答えるひとがほとんどで、聞いたことがある人でも正確な場所を知らなかったりと、かなりマイナーな場所だということがわかった。
「引き続き、駅周辺で情報を集めていてください」
「はい、宗志様もお気をつけください」
探偵と別れた私たちは、バスターミナルの一番端っこにある乗り場で、1時間近く待ってようやくバスに乗れた。
「穢淵入口? ――いやぁ、ずいぶんとそこで人が降りるの見たことないね~。廃村になったんじゃなかったっけ?」
「いえ、ボクたちも詳しくなくて……」
「上りのバスの最終は18時だから乗り遅れたら君たち大変なことになるよ」
「わかりました。気をつけます」
弟君がバスの車内で運転手に話を聞いたところ、停留所はあるが、使っている人はいないらしく帰りのバスの時間を逃がさないよう注意された。