ナルシストと恋は de キュン!
「あっ、でも――」
停留所に着く少し前に運転手が何かを思い出したのか、急に美柑たちに話し出した。
「同僚が、何か月か前にその穢淵入口で、一斉に人が降りたって言ってたなぁ」
田舎のバスなので、普段なら乗っても数人程度なのにその日は、バスの座席が全部埋まるくらい人が乗って、そのほとんどがその村の近くのバス停で降りていったという。
「それでね。ここだけの話、その降りていった人たちが」
全員、顔に血の気がなく、真っ青で、幽霊の集団にでも遭遇したと思ったくらい彼の同僚は気持ち悪かったと言っていたそうだ。
「そうなんですね。よし、美柑帰ろう!」
雛子、オバケとか怖いの苦手だから、ダメみたい。即座に帰ろうと言い出した。
「フッ、やはりモブはモブでしかないわね?」
「――ぐぅ……でも、何と言われようとこれだけは譲れない」
源もなかが雛子を煽るが、雛子も今回は引かない。
私にぴったりとくっついているので、雛子の肩にそっと手を回す。
「雛子ゴメンね。どうせ、戻りのバスは夕方6時だから、雛子だけ終点まで乗って行って、折り返しのバスに乗ってくるのはどう?」
鳴雄サマがいる可能性が高いのに行かない手はない。
夕方にはどうせ帰るし、そう提案してみたが……。
「やっぱり美柑と一緒に行く」
怖い話を聞いてしまったから、逆に一人になるのが怖いみたい。