ナルシストと恋は de キュン!




 
「こっちです」

 片側1車線の道路で歩道がない場所に降りた。

 周囲は見渡す限り緑に包まれていて、葉っぱの擦れる音とピヨピヨと遠くで鳴いている鳥のさえずりが聞こえる。

 対向車線側の方が山になっていて、反対側のバス停の隣にぽっかりと階段の入り口が開いている。スマホを見ながら、弟君が車道を渡りながら美柑たちに声をかけた。

「ふぅ……ここから見ると結構上りましたね」

 階段を上がった先に山の地形に沿って、上り坂が続いているので更に登っていくと、気づけば先ほどまでいた道がかなり小さくなっていた。

「このトンネルを抜けた先にあるそうです」
「ここ通るの? マジ? 怖すぎなんだけど……」
「雛子、大丈夫だよ。私がついているから」
「惰弱すぎる。ボスの下僕失格ね、アナタ」
「ううっ……怖すぎて吐きそう」
 
 源もなかに言われるも、今の雛子には怖さの方が勝っているらしく、聞こえてすらいなさそう。

 人の手で掘ったのか、トンネルのアーチ部分の岩肌はノミとかで削られた跡があって、とても歴史を感じる。

 トンネルの中は、照明がないが、少し折れた先に光が見えるので、そこまで長くなさそう。でも夜ここを通るなら真っ暗で何も見えないかもしれない。

 美柑が足を踏み入れた途端、冷たい風がトンネルの奥から吹き抜けてきた





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