ナルシストと恋は de キュン!
12 奇妙な村
トンネルを抜けた先は、左右に木が並んでいて、さらに道を挟んで両側に二頭身の奇妙な石像が等間隔に並んでいた。
「なんでしょうね? この像」
弟君が石像の近くに寄って観察している間、美柑たちは舗装もされていない道の真ん中で、辺りを気にしながら待つ。
雛子は「お地蔵さん、あれは全部お地蔵さん……」とブツブツと自分自身を言い聞かせるようにつぶやいているが、美柑としてはどう見てもお地蔵様には見えなかった。
弟君は石像を少し観察していたものの、すぐに離れて先頭を歩く。
数分歩いただけで、すぐ村が見えてきた。
村、と言っても、山の谷間に十数軒しかないようなとても小さい村。
人の気配がまったくない。
「あ……もう無理かも!」
トンネルの方からやってきて、いちばん最初の建物の前にテーブルが置いてあって、その上に何かあった。ある程度近づいて、それがなんなのか気づいた途端、雛子が立ったまま、貧血のように膝が崩れたので、美柑が慌てて親友を支えた。
料理用のボウルの中に、真っ赤な液体に浸った動物の頭蓋骨がのぞいていた。
血、なのかもしれない。
「こっ、怖くなんか、ないもん!」
これを見て、弟君もスイッチが入った。
半べそになりながら、雛子に膝を貸している美柑のそばにくっついて離れなくなった。