ナルシストと恋は de キュン!
「あれ、なんかカラスがたくさんいる……」
雛子が空を見上げてつぶやいたので、美柑もつられて辺りを見渡すと、建物の屋根や木の上にカラスがチラホラと止まっていて、たしかにカァーカァーと鳴いている……。言われてみれば、さっきまでカラスなんて、いなかった気がする。
「魔王の使いブラックバード――問題ない。来たらモナの剣の錆になるだけよ」
こういう時、いいな。頭の中がお花畑じゃなく、剣と魔法の世界が脳内を駆け巡ってる人は。ある意味この状況で最強だと思う。お得意の伸びる警棒をピュンと振って伸ばして、周囲を警戒している。
「すみませーん、誰かいませんかー?」
トンネル側の方から順に建物を訪ねて回るが、鍵が閉まっていて人が住んでいるのか、よくわからない。
それよりも気になるのが、それぞれの家の玄関前に人形の首だけが何個も置かれていて、雛子どころか、弟君まで怖がって二人が美柑から離れなくなってしまった。
本当になにか怖そうな人が出てきたら、美柑たちには剣士モナがついている。きっと大丈夫に違いない……と思いたい。
誰一人村の人と会うことなく、いちばん奥にある建物の前までやってきた。
さっさとノックして不在であることを確認して帰ろう。
ここにはたぶん鳴雄サマはいない。
そう思ってノックすると。
「ここで何をしている。下僕8号たち?」
「「ぎゃぁぁぁぁぁああ」」
真後ろから声をかけられて、弟君と雛子が気絶しかけた。
美柑は一瞬はやく後ろで鳴雄サマレーダーで探知できたので、驚かなかったが、気絶しかけた二人が心配だ。
「鳴雄サ……」
「ボス、こんなところにいらしたのですか⁉」
ぶぅ……。
私が先にしゃべり出したのに、源もなかのバカでかい声にかき消されてしまった。