大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
「もう掴めないって分かっても、ダメで諦めきれなかった。それでも無理に切り替えて、幸せならそれでいいって、自分に言い聞かせて……」
抱きしめられていて顔は見えない。だけど、声だけで分かる。ずっと隠してきた気持ちが、今やっとこうして全部こぼれていること。
「なのに、相手、あれなんだよ」
声が低くなる。
「もう浮気してようがしてまいが、最初から気に食わなかった。俺だったらこんな思いさせないって……ずっとそんなことばかり考えてた。そしたら浮気してただろ? ……許せるわけないだろ」
「あの時は、ありがとう」
「当然だよ。……本気で、二度と千紘の前に顔を出すなって思った。千紘を傷つけて、どうして平気な顔でいられるんだって。合法的に消す方法とか、あかり先生に聞いたら止められた」
「何聞いてるの……」
「本気でムカついてたんだよ。……ふざけるなって」
穂高の腕がきゅっと強くなる。でも痛くなかった。むしろ心地いいと思う。