大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

 そして、彼とひとつになったとき、涙が溢れていた。

 気持ちよくて、満たされて、幸せで……それなのに、その分だけ胸の奥が痛くてたまらない。

「ごめん……」
「なにが?」

「私があの時、別れなんて選んだから。だから、あの頃のままじゃいられなくて……。今は、もう穂高が知ってる私と違って……それが後悔でいっぱいで……」

 泣く私の頬を、穂高が唇でそっとぬぐう。

「千紘は千紘だよ。それに、間違えない人間なんていない。そんな後悔は俺が全部なくすから」
「でも……」
「ほら、今の千紘のこと、全部教えて……」

 優しい声でそう囁きながら、彼は何度もキスを重ねる。

 キスして身体の奥に彼が触れるたび、胸の奥の痛みは少しずつ溶けて消え、代わりに甘い熱が残る。

「千紘、好きだ。もう絶対、離さない」
「私も……好き。大好き。離れたくない」

 その後は、二人の境界がなくなるくらいに、何度もキスをして、抱きしめ合った。

 そのうち二人で、静かな夜にゆっくり溶けていった。

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