大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

(私がちゃんと向き合わなかったからだ)

 私はまっすぐ頭を下げた。
 怖いけど、伝えないと。自分の気持ち。

「匡輔……お願い。私、今、大切な人がいるの。これからも大切にしたい人。だから、もう、あなたの世話はしたくない。帰って」

 私の震える声に、匡輔が鼻で笑う。

「はん……ほんと変わった。誰の影響だよ」
「関係ない」
「上廻ってやつじゃねーよな? まさか……」

 心臓が一瞬止まる。
 匡輔の顔つきが、怒りと嫉妬で変形した。

「お前、あの時から不倫してたわけ? なのに俺だけ責められて慰謝料まで取られて、おかしくねぇ? 金、返せよ。それで責任とれよ!」

 怒鳴り声がカフェの空気を揺らす。周囲の視線が集まり、胸が潰れそうになる。

 唇を噛んだ、その時――テーブルに、大きな手がバンッと置かれた。
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