大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
穂高は私の手からマグカップを取り、そして私の両手を包んで私を見つめた。
「……千紘、その考え方はやめろ」
穂高がこんなに厳しい声を私に向けるのは初めてだった。真剣な彼の目から視線が逸らせない。
「『自分が選んだ相手だから自分にも責任がある』って、一見立派なようで、全然違う。あいつは子どもじゃない。立派な大人で、あいつ自身の人生と行動と責任は、全部自分で持つべきなんだよ」
彼の目には静かな怒りと悔しさがにじんでいる。
「千紘が、必死に家庭を保とうとしている間、あいつは何してた? 浮気して、千紘を傷つけて、離婚後も甘えてくる。自分の選択の全てのツケを、千紘に押しつけようとしてるだけだ。責任を取るのは、千紘じゃなくてあいつなんだよ!」
穂高が珍しく声を荒げた。
「これ以上、千紘があいつのことで苦しむ必要なんか一つもない。俺に全部渡せ。千紘はもう何ひとつ抱えなくていい。全部、俺が何とかする。千紘はあんなやつに振り回されず、千紘の思うように生きていいんだ」