大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
「終わった? 一緒に帰ろうか」
「うん」
夜。ちょうど結果をまとめ終わったところで、穂高に声をかけられ、二人で並んで歩いて帰る。
自然に手を繋ぎ、お互い視線が絡んで笑ってしまった。
「穂高の頬の跡、まだまだ目立つね」
「いいんだよ。それに他部署との会議なんかでも、みんな好意的に声をかけてくれるしな」
「そういえば、今日も会議ってボードに書いて席にはほとんどいなかったね。部長会議とか?」
「あぁ……。まぁ、野暮用も多くてさ」
穂高はそう言いながら、少し疲れたように眉を下げた。
「部長も大変だね。開発や研究だけってわけにはいかないよね」
「開発のほうは、千紘も、それに部のみんなもいるから安心だよ」
私はちゃんと彼の役に立てているだろうか。それなら嬉しいけど……。
一緒に研究ができなくても、こうしてずっと近くで見守っていてくれるだけで幸せだ。
穂高も頑張ってるって間近で感じられるから。
それが思った以上に自分の力になっているとわかる。
私は彼の手が離れないように、繋いでいる手を、ぎゅう、と強く握った。