大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

「いや、なんでこの座り方なの。私、和穂じゃないんだからっ」
「だって、これが一番近いから好きなんだ。こういう時間がないと頑張れない。だって開発にいる時と違って、今は平日の昼間は千紘の顔見れないし。なかなか二人きりの時間もとれないしね」

 ずるい。そう思うのに胸がきゅうんとする。

 彼の腕が自然に私背中へ回り、温もりに包まれた。
 どちらからともなく、唇が重なる。

「千紘」
「ん?」
「俺、毎日思うんだよ。千紘と家族になれてよかったって」

「私もだよ。本当に幸せ。……こんな未来が来るなんて思わなかった」

 静かな夜。子どもの寝息が遠くで聞こえる。
 この家全体が、ふわっと温かく感じた。すごく居心地がいい。
< 206 / 209 >

この作品をシェア

pagetop