大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

 しかし、その夜、匡輔は帰ってこなかった。日を越えても匡輔は戻らない。
 連絡を入れても返事なし。メッセージは既読にもならない。

 深夜になって、ようやくLINEが返ってきた。
【今日は帰らない】
 たったそれだけ。

 次の日。匡輔は出社していたが、私を見るなり舌打ちをした。

「お前のとこの上司さ、最悪だろ。なんであんなのが部長なわけ? 開発部って使えない人間の集まりかよ」

 思わず私はムッとしてしまった。私はともかく、穂高や開発部のみんなのことは悪く言われたくない。

「開発部、みんなすごいんだよ。私は――」
「あのな、商品を俺らが売ってやってるから売れてるの。営業がなかったらただの頭でっかちの集団だ。それを勘違いすんなよ」

(……なんで、こんなに冷たいんだろう)

 浮気だけじゃない。

 言い方も、態度も、視線も……一年一緒にいたのに、この人と生きていく未来を想像できない。

(私、ずっと、この人のそばにいられる……?)

 自分に問いかけた瞬間、返事はイエスとは言えないと気づく。

 今までどんな顔で匡輔の隣に立ってたのかすら、もううまく思い出せなくなっていた。
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