大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
***

「穂高!」

 アメリカで付き合っていた頃。
 お互い忙しかったけれど、私は一秒でも長く穂高といたくて、彼の働くメルナク社の前までよく迎えに行った。

 穂高は最初は嬉しそうに微笑むくせに、いつも後で少し困った顔をする。

「日本じゃないんだ。こんなところ一人で歩いて来ないほうがいい」
「危ないところかどうかくらい、私だって分かるわ。偉そうに言わないで」
「偉そうじゃない。心配して言ってるんだろ?」
「心配なんて必要ないってば」

 あの頃の私は、今よりずっと強かった。言いたいことは全部言って、泣くのも怒るのも隠さず、喧嘩だってしょっちゅうだった。
 それでも、仲直りはいつだって異常なくらい甘かった。
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