大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
ちら、と穂高を見ると、明らかに急いで来た格好だ。
ネクタイは外され、シャツは第二ボタンまで開いていて、髪も整える暇もなかったのが一目で分かる。
(ほんとに、走って来たんだ……?)
「あ、あの……」
声が震える。でも、その直後。
「千紘さん、酔ってるんだもん。いくら上司だからって、『いらないこと』の一つや二つ言っちゃってもいいんじゃない?」
「いらないこと?」
穂高が小さく首を傾げる。
私は自分がさっき言った言葉を思い出して真っ赤になる。
「いや、私、あの……一人で帰れますから」