大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

 混乱して逃げ腰になった私に、穂高が歩み寄ってくる。
 とにかく心臓の音が大きすぎて穂高にまで聞こえそうだ。

(まずい……)

 しかし穂高は引かなかった。

「送る」
「で、でも——」
「千紘が他の男に声かけられたら、『俺が』嫌なんだ」

 その言葉は、酔いも一瞬で飛ばすほど真っ直ぐだった。
 隣で瑞穂社長がワイン片手にめちゃくちゃいい笑顔をしている。
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