大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

「ほら千紘さん、もう観念して自分に素直になりなさいよ〜」

 楽しそうというか、完全に面白がっている。

(な、なんなの……この状況……!)

 だけど、穂高だけは違った。
 笑っておらず、茶化すでもなく……ただただ、真剣で、必死で、私をまっすぐ見ていた。

「とにかく行こう。送るから」

 手が差し出される。

 その手を取るかどうか少し悩み、おずおずと穂高の方に私の手が勝手に動いた。
 そしたら次の瞬間には、彼の手が我慢できなかったように私の手を強く掴む。

 驚きで、息がうまく吸えなかった。
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