辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
アズールティアで数日過ごした後、
ラジワはソラリスへと帰国することになった。
船に乗り込む時間になり、
ラジワがタラップを上る前に振り返った。

「結婚式、必ず出席するわ!
ビンセントも来るって張り切っていたけれど……」

ファティマが微笑む。
「弟も立派になったわね。皇帝陛下にお会いできるのが楽しみだわ。」

ラジワは声をひそめ、
くすっと笑った。
「でも……お姉様命のビンセントが、
お姉様の結婚式に耐えられるかどうか……ちょっと心配ね?」

ファティマは吹き出しそうになった。
「それは……確かに。」

ラジワは晴れやかな笑顔を見せた。
「それじゃあ、式でまた会いましょう。
お姉様、本当に……幸せになってね。」

太陽の紋章を掲げた船が港を離れていく。
光の中で手を振るラジワの姿が小さくなっていくのを、
ファティマは胸いっぱいの想いで見送り続けた。







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