辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
アズールティアには、
昔から語り継がれる一つの伝説があった。
■ 海神の娘アズールと、美しい漁師の恋
夜の海を照らす月が満ちる頃、
海の底深くに住む海神アル・マリナの娘——アズールは、
海面近くに現れる一人の若い漁師に恋をする。
彼は人々を助け、
決して貧しい者からは金を取らない
優しい男だった。
アズールは彼に惹かれ、
父の反対を押し切って地上へと上がる。
ふたりは出会い、
言葉を交わすだけで恋に落ちた。
海と陸が結ばれた奇跡は、
村人たちにも温かく受け入れられ、
やがてアズールは新しい命を宿す。
しかし──
海神アル・マリナは、
禁を破った娘を許さなかった。
怒り狂った海神は巨大な津波を呼び起こし、
アズールの夫となった漁師を海へと引きずり込み、
命を奪ってしまったのだ。
その報せを聞くと、
アズールは泣き叫ぶように海辺へ駆けていった。
子を産み落としたあと、
アズールは「あなたと共に」と、
海へ身を投げたのだ。
娘と婿を奪ってしまった海神は、
自らの行いを悔やんだ。
残された幼子は、
アズールの遺した唯一の命。
海神アル・マリナは孫に海を操る力を授け、
「おまえこそ、海と陸をつなぐ者となれ」
そう告げた。
やがて少年は成長し、
その力と温かな心で人々を助け、
アズールティアの初代国王となった。
この伝説は、
アズールティア王家の象徴として
今日まで大切に語り継がれている。
昔から語り継がれる一つの伝説があった。
■ 海神の娘アズールと、美しい漁師の恋
夜の海を照らす月が満ちる頃、
海の底深くに住む海神アル・マリナの娘——アズールは、
海面近くに現れる一人の若い漁師に恋をする。
彼は人々を助け、
決して貧しい者からは金を取らない
優しい男だった。
アズールは彼に惹かれ、
父の反対を押し切って地上へと上がる。
ふたりは出会い、
言葉を交わすだけで恋に落ちた。
海と陸が結ばれた奇跡は、
村人たちにも温かく受け入れられ、
やがてアズールは新しい命を宿す。
しかし──
海神アル・マリナは、
禁を破った娘を許さなかった。
怒り狂った海神は巨大な津波を呼び起こし、
アズールの夫となった漁師を海へと引きずり込み、
命を奪ってしまったのだ。
その報せを聞くと、
アズールは泣き叫ぶように海辺へ駆けていった。
子を産み落としたあと、
アズールは「あなたと共に」と、
海へ身を投げたのだ。
娘と婿を奪ってしまった海神は、
自らの行いを悔やんだ。
残された幼子は、
アズールの遺した唯一の命。
海神アル・マリナは孫に海を操る力を授け、
「おまえこそ、海と陸をつなぐ者となれ」
そう告げた。
やがて少年は成長し、
その力と温かな心で人々を助け、
アズールティアの初代国王となった。
この伝説は、
アズールティア王家の象徴として
今日まで大切に語り継がれている。