辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
式後の祝宴には、
ヴァリニア王国やアルドレイン王国の王族たちも参加し、

アズールティアは祭りのような熱気に包まれる。

控室では、
久々にそろった三人の姉弟――
ファティマ、ラジワ、ビンセントが向かい合っていた。

「お姉様、今日のお姿、本当に素敵でしたわ。」
ラジワが微笑む。

「ありがとう。……あなたも相変わらず綺麗ね。」
ファティマが照れ笑いを返す。

ビンセントは少しすねた顔で、
「僕は? 僕の皇帝姿は? 姉上は見てくれた?姉上に褒めていただきたくて新調したんだよ」
とファティマに訴える。

「もちろんよ。立派な皇帝になったわね、ビンセント。」

ファティマがそう言うと、
ビンセントは子供のように嬉しそうに笑った。

ラジワは肘で弟をつつきながら、
「式の間もずーっと泣いちゃって。でも、崩壊寸前だった帝国をよくここまで立て直したわね。さすが“お姉様命”の皇帝。」
とからかう。

「うるさい!」
と返すビンセント。
しかしその横顔は、
誇らしさと幸福で満ちていた。

ファティマはふたりを見つめながら、
胸の底からじんわりと
温かい幸福が湧きあがるのを感じていた。

「……やっと、みんな幸せになれたわね。」

そう呟いた姉の声に、
弟と妹はそっと寄り添い、
三人で静かに笑い合った。
< 158 / 166 >

この作品をシェア

pagetop