辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
定例の交易会議のために、
デクランは久しぶりに侯国を訪れた。
本来なら――会議の合間に、
ファティマと穏やかに近況を語らい、
笑い合うはずだった。
しかし。
「……侯妃様は、本日は欠席でして」
代理で出席した役人は、
曖昧な笑みを浮かべた。
「数日前から体調を崩されて……お休みを」
「体調を?」
デクランは眉をひそめる。
最近届いた手紙にはそんなことは一言もなかった。
「では、せめてお見舞いの手紙を……」
そう言って手紙を手渡したが、
返事は――何日経っても来なかった。
(手紙が書けないほど体調が悪いのだろうか……おかしい。何かが、まるで見えない手で塞がれているような……)
胸の奥がざわついたまま、
デクランはアズールティアで
悶々とした日々を過ごす。
デクランは久しぶりに侯国を訪れた。
本来なら――会議の合間に、
ファティマと穏やかに近況を語らい、
笑い合うはずだった。
しかし。
「……侯妃様は、本日は欠席でして」
代理で出席した役人は、
曖昧な笑みを浮かべた。
「数日前から体調を崩されて……お休みを」
「体調を?」
デクランは眉をひそめる。
最近届いた手紙にはそんなことは一言もなかった。
「では、せめてお見舞いの手紙を……」
そう言って手紙を手渡したが、
返事は――何日経っても来なかった。
(手紙が書けないほど体調が悪いのだろうか……おかしい。何かが、まるで見えない手で塞がれているような……)
胸の奥がざわついたまま、
デクランはアズールティアで
悶々とした日々を過ごす。