辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
そこには先客がいて、
国王オルランドが座っていた。
デクランはオルランドとも握手を交わす。
早速、
フィロメナ王妃は机の引き出しから地図を広げた。
ドラゴニア帝国の厳重な監視網と、
宮城の内部構造が細かく書かれている。
「姉上は――
新皇帝クレオールの命令で、帝都城内の『蒼塔』に幽閉されています」
「蒼塔……?」
カーティスが息を呑む。
フィロメナは静かに説明を続けた。
「元は外交文書の保管庫でしたが、今は……クレオールが秘密裏に政治犯を閉じ込めるために使っているそうです。
外観は塔ですが、内部は迷路のようで、見張りも多い。
正式な手続きを踏まずに入ることは、絶対に許されません」
デクランは地図をじっと見つめた。
(そんな場所に……ファティマが。
暗く、冷たい場所に閉じ込められているのか)
胸の奥がぎゅっと縮む。
フィロメナは続けた。
「姉上は、かつて姉上に仕えていた侍女を通じて助けを求めてきました。本当に間一髪だったのです。私はオルランド様と帰国しようとしていた時でしたから。少しでもタイミングがズレていたら、私は姉上の窮状を知ることはできなかったでしょう。
けれどアルドレインは厳密にはまだドラゴニアの傘下にあります。我々が軍を動かせば、帝国は報復してくるでしょう。だからあなたへ手紙を書いたのです」
国王オルランドが座っていた。
デクランはオルランドとも握手を交わす。
早速、
フィロメナ王妃は机の引き出しから地図を広げた。
ドラゴニア帝国の厳重な監視網と、
宮城の内部構造が細かく書かれている。
「姉上は――
新皇帝クレオールの命令で、帝都城内の『蒼塔』に幽閉されています」
「蒼塔……?」
カーティスが息を呑む。
フィロメナは静かに説明を続けた。
「元は外交文書の保管庫でしたが、今は……クレオールが秘密裏に政治犯を閉じ込めるために使っているそうです。
外観は塔ですが、内部は迷路のようで、見張りも多い。
正式な手続きを踏まずに入ることは、絶対に許されません」
デクランは地図をじっと見つめた。
(そんな場所に……ファティマが。
暗く、冷たい場所に閉じ込められているのか)
胸の奥がぎゅっと縮む。
フィロメナは続けた。
「姉上は、かつて姉上に仕えていた侍女を通じて助けを求めてきました。本当に間一髪だったのです。私はオルランド様と帰国しようとしていた時でしたから。少しでもタイミングがズレていたら、私は姉上の窮状を知ることはできなかったでしょう。
けれどアルドレインは厳密にはまだドラゴニアの傘下にあります。我々が軍を動かせば、帝国は報復してくるでしょう。だからあなたへ手紙を書いたのです」