声にならない、さよならを

あとがき

ここまで読んでくれてありがとうございます。
この物語は、ハッピーエンドではありません。
でも、わたしは “悲しい結末” だとも思っていません。
叶わない恋、続かない関係、
それでも確かに存在した時間や気持ちは、
決して嘘でも無駄でもなく、人を成長させてくれるものだからです。
蒼士と柚李は、お互いを大切に思っていたからこそ、
選べない道を選ばざるを得ませんでした。
それは弱さではなく、強さだと思っています。
そして春斗は、
“選ばれない側” の優しさと痛みを背負いながら、
それでも相手を責めない強さを持つ人です。
彼の存在があったからこそ、
柚李は最後に前へ進むための答えを見つけられました。
恋愛は、うまくいくことより、
うまくいかなかったことの方が、
心に残り続けるのかもしれません。
もしあなたにも、
昔好きだった人、大切だった人がいるのなら、
その記憶はきっと、痛みも優しさも含めて、
あなたの一部になっているはずです。
この物語が、
あなたの心のどこかと静かにつながって、
そっと寄り添うような存在になれたら嬉しいです。
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ゆのか/著

総文字数/12,961

恋愛(学園)10ページ

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あの夏を、私はまだ覚えている。  「暇だからいいよ」──そう答えたあの日。  中学1年の七月、青郎に告白されて、軽い気持ちでうなずいた。  でも本当は、あの瞬間から何かが変わっていたんだと思う。  青郎は、誰よりも明るくて、クラスの中心にいた。  私はその光が少しまぶしくて、だから決めた。  「この関係、誰にも言わない。隠すためなら、なんでもする」って。  秘密であることが、ふたりだけの絆のように思えた。  放課後の体育館裏、机の下でつないだ手、誰にも気づかれないように笑い合った日々。  どんなに隠しても、心の奥では、あの人だけでいっぱいだった。  2年の春、初めて「好き」と伝えた。  青郎は驚いたように笑って、そっと私の頭を撫でた。  あの瞬間、初めて“恋”が本物になった気がした。  冬、席が隣になってからは、毎日のように机の下で手を繋いでいた。  3年の春、修学旅行でバレないように手を繋いで、あーんして。  周りに隠しながら、心の中では「ずっと一緒にいられますように」と願っていた。  でも、冬。受験の時期。  青郎が遠い高校に進むと聞いた夜、涙が止まらなかった。  だけど、「青郎の夢を応援したい」と思った。  理科の授業中、先生にバレないように彼の面接練習をしていた日々は、  恋人としての最後の時間のようだった。  高校生になってからも、好きだった。  でも、遠距離は想像以上に冷たくて、痛かった。  七月七日──あの日、青郎は言った。  「お互いを思って、ここで終わりにしよう」  そして、約束をした。  「成人式でまた会おう。その時まだ好きだったら、今度は結婚前提で付き合おう」  時が経っても、青郎以外に“好き”と思える人はいなかった。  そして、青郎もまた、誰かと付き合っても、私を忘れられなかった。  あの夏、隠した恋は、今も胸の奥に息づいている。  誰にも見せなかった恋が、確かにここにあった。  ──これは、時間を越えて続いた“初恋”の物語。

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