俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る
みんなで引っ越しの日を決めてその日までに季節外で今着ない服や靴などを少しづつ運び込んで、引っ越しの日に大きなものを運ぶことになった。

でも、それぞれの部屋にはしっかりと電化製品は揃っているので、空が持っていく物は身の回りのものとキッチングッズくらいだ。

それまでに休みが合うと本格的に美空に料理の指導をした。

当分は今までのように常備菜を冷凍庫や冷蔵庫に入れておくので、メインの料理をまず覚えようと美空の指導を始めた。

季節的に鍋やおでんが食べたい時期なのでそれなら簡単だからまずお鍋のバリエーションを教えた。

いつも空の料理を食べていた美空なので、使う調味料を教える。味付けは問題ない。

下処理や出かける前にここまでやっておくと帰ってすぐに料理ができる。そんな事を教えていった。

考えてみると隼人がNOAに入社してからもう一年以上がたつのだ。早いものである。

そして四人でおでんを食べている時に、この頃時々CAやほかの班の女性陣に冷たいまなざしで見られることがある。そろそろ隼人の事で弄られる頃合いかもしれないと思っていた。

高校生の時もよく呼び出されて、取り囲まれていろいろ言われたが、空はそんな事には屈しなかった。

机の落書きや靴箱にゴミが入っていたり、廊下で足を引っかけられるとか、日常茶飯事だったのだ。

いちいち隼人や健吾に報告すらしなかった。健吾もよくもてていたのだ。

二人はタイプの違うイケメンで二人分のファンに相対しなければならなくて、よく”で、どっちの方？“と聞いていたっけと、思い出して笑ってしまった。

それを見て三人が思い出し笑いしてると言って、何の事だと白状させられた。

高校時代の呼び出しやいじめの事を話すと、隼人も健吾も知らなかったので“なぜ言わなかったんだ”と叱られた。

「そろそろ隼人のファンに囲まれそうだなあと思っている所なんだよね。高校の時と違ってどんなふうに接してくるかどんなこと言われるかちょっと楽しみ」

「何言ってんだ。なんか言われたら絶対報告するんだぞ。空を困らせる奴は絶対許さない。俺が空を守るから心配するな」

そう言って空の頭をポンポンとした。
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