俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る
その後、二週間ぐらいたって深刻な事件は起こった。

ゲートに野崎さんたちが現れた。空達の班は今日は札幌便のゲートの担当で、たまたま野崎達の乗務の便だったのだ。

空はゲートのチーフでお客様の確認をして搭乗予定数の数を合わせて、ドア口でCAに人数の報告をするのだが、一人合わないと言い始め再度チェックしてほしいと言われたのだが、ピンときた私はスタッフに飛行機に乗り込んで実際の数を数えるようにと指示をした。

でも、CAが地上スタッフの飛行機への乗り込みを拒否して入れてもらえないと、泣きそうになりながら帰ってきた。

空はなら自分が行くと言って強引に飛行機に乗り込んで、カウントしていった。

出発間際だったので全員座っていて、手に持ったカウンターで確認していくと間違いなくあっている。

すぐに機長に報告すると言ってコクピットに向かおうとすると、野崎に止められた。

この日のチーフパーサーは野崎だったのだ。

出発間際の一番緊張するときに、そんな事で機長を煩わせないでと言われたが、”そんな事ではありませんとても大切な事です“といって、野崎を押しのけてコックピットにいる機長に事の顛末を話して、ゲートクローズの時間が伸びてしまって申し訳ありませんと誤った。

いつもお客様全員そろえば少し早くてもゲートクローズにしているので、この日も少し早めにクローズできたので実際にはほんの二～三分といったところだった。

でも、遅れたことは確かで報告に挙げなければならない。

「いつも秋野さんのゲートは早めにできるときは早めに閉めてくれているから、僕たちも余裕が持てて助かっているんだよ。そんなトラブルがあったのに遅れは今の所三分だ。何も問題ないよ。それよりこちらのカウントミスで申し訳なかったね。ありがとう」

機長にそう言ってもらえて助かった。ほっとして機内を出ようと思い野崎を見ると鬼のような形相で思わず引いてしまった。

空と一緒にカウントしていた子も、えっと言って思わず空の後ろに隠れたほどだ。

空はCAに”行ってらっしゃいませ“と言うと最上級のお辞儀をしてさっさとゲートに退散した。
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