俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る

隼人は御曹司だった件

空と美空は唖然として、二人して「「ええっ」」と叫んでいた。

「カナダに帰らなきゃいけなくなった。祖母さんからでちょっと要領が得ないからあとで母さんに電話するけど…」

そう言うと直ぐに会社に連絡して上司に状況の報告だけした。

状況がはっきりするまで海外などの乗務をしていては、カナダには帰れないからだ。

お祝のパーテイどころではなくなった。美空は健吾をどうにか起こして連れて帰った。

空は片付けをしながら、隼人の事を心配しつつ明日のお弁当を作ったり、洗濯したり家事をして気を紛らわせた。

隼人のお母さん二度ほどあったことがある。お母さんはとてもきれいな人で隼人は母親似だなと思った記憶がある。

お父さんは当目に見ただけだったが、とっても優しそうで、大人の男性の落ち着きのある頼りになりそうな人だった。

しばらくして寝室から出てきた隼人はお母さんに電話をしたようで、

「会社で倒れたらしい。脳出血で今手術中で手術が終わったら連絡してくるから、カナダに帰るのはそれから考えることになる。どちらにしても一度帰って来て欲しいと母親に言われたから、帰るつもりだけど空も一緒に来てくれないか？両親や祖母にきちんと紹介したいんだ」

「うん分かった。明日上司に話をしておくから行く日が決まったら教えて」

「うん、それで空に話しておかないといけない事があるんだ」

「なに？」

「実は、俺たちがカナダに行ったのは母さんの兄が事故で突然無くなって母さんに親の会社を継いでほしいとグランマが言ってきたからなんだ。親父は日本で同じような仕事をしていて母さんの兄さんも親父にカナダに来て会社を手伝って欲しいとずっと言ってきていたらしい。結局親父が社長として後を継ぐことになったんだ。カナダでも名の知れた会社でゴードン・ホテル＆リゾーツっていうんだ。ゴードンは母さんの実家の名前で、グランマは会長としてまだ会社に関わってる。空も知ってると思うけどバンフシーズンホテルやバンクーバーのゴードンホテルとかアメリカなんかにもゴードンホテルは沢山ある」

「うん、ゴードンホテルはよく知ってる。隼人はそこを継ぐことになるの？」

「そうだな、でも四十五歳までは好きにしていいって言われてたんだ」

「なんでそんな大事な事今まで言ってくれなかったの？」

「だって、空そういうの嫌だろ？そんな事で空を失いたくなかったんだ。空が俺と結婚するってきちんと決めてくれるまで、俺じゃなきゃだめだって思ってくれるまで空の気持ちを掴んでから言うつもりだったんだ」