俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る
そして、今空はバンクーバー行のNOAのビジネスクラスに隼人と一緒に贅沢な座席に落ち着かなげに座っている。

エコノミーでいいと言ったのに隼人がビジネスで往復とるように言ってきかないので、NOAの社員割引は使わず隼人が普通に航空券を購入したのだ。

もしも急を要すことになったらプライベートジェットで行く事になったのだから、それを想えばこれくらい安い物だと言う隼人に、ありがたく乗せていただいた。(ごっつあんです)

そしてバンクバーに昼前について、迎えの車に乗りとりあえず隼人の自宅に向かった。

そこで空は口をあんぐりと開けて、その邸宅に圧倒されていた。

そう言えばちょっと前に大きな背の高い鉄策の門を入ったと思っていたがその後延々と林の中のような道を走っていたら突然視界が開けて白亜のお城のような邸宅が目に飛び込んできたのだ。

尖塔まである本当にお城のようだ。尖塔の天辺にはカナダの国旗ともう一つの尖塔には、多分ゴードンホテル&リゾーツの会社のシンボルマークの旗がなびいている。

横に大きく広がっている邸宅はまるで両手を広げてくる人を迎えるように両端部分が内側にカーブしている。

二階建てだが尖塔のある部分は三階建てになっている。ヨーロッパのお城のミニチュアのようだ。

ホテルの玄関の乗り入れのような前庭に車が止まり運転手がドアを開けてくれた。

空は言葉も無く突っ立っていると、隼人が“もしも~し、空帰ってこい”と耳元で呟いたのではっと我に返った。

「ねえ、ここホテル?まさか隼人の自宅だなんて言わないよね?」

「俺も言いたかないけど、ここが自宅。でも俺も大学はバンクーバーじゃなかったから四年ちょっとしか住んでなかったけどな」

「にしても、すごいね。そりゃあここなら和食の家庭料理は似合わないわ」

隼人は噴出して、あははと大笑いしだした。

「空のそういうとこ最高だな」
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