俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る
隼人とは喧嘩をしては別れるといっては疎遠になる二人だが、いつのまにか健吾が二人の仲を取り持ってまた付き合い始める。そんな繰り返しだった。

そんなことを懐かしく思い出しながら、美空にも高校生の頃の思い出話や笑い話を聞かせていた。

横断歩道の一件では、さすがに美空も言葉が出なかった。

そこまで空は飛行機が好きなのか、ちょっとやりすぎだ。そういうと空は

「だって飛行機雲だよ!それにあんなきれいな青空にくっきりと心臓が止まりそうだったよ。あまりに美しい景色でさ」

「俺がいなかったら心臓が本当に止まってたかもな。それなのに渡り切ったらまた立ち止まって携帯で写真撮ってんだから始末に負えないよ、なあ健吾」

「あ~っ それが空の待ち受けになってる写真?」と美空

「うん、これ以上の飛行機雲にまだ遭遇したことがないもん」

「俺が一緒にいるときに遭遇することを祈ってるよ。見境のない空には飛行機雲は危険だからな」

そういって隼人も健吾もけらけら笑っている。健吾の笑い方は少し間抜けているので、きっとかなり酔っぱらっている。

「健吾、もう水にしときな。それ以上はNGだよ」

と空は健吾に水の入ったコップを渡しながら言った。

「イエッサー! おかんが怒ると怖いからな」

健吾は素直にコップの水を飲みほした。

それからも四人でワイワイ楽しんだが、隼人にNOAの隠れたルールや癖のあるパイロットやCAの情報をきっちりと伝授しておいた。

隼人はしっかりと頭に入れていたようだ。
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