もしも生まれ変われるのなら

……ううん、違う。

「本当に、ごめんなさい……」

タオルに包まれた私を抱きしめるお母さん。

その目からたくさんの涙がこぼれ落ち、私の頬に当たる。

お母さんも私と同様に会いたかったんだね。

だから、今、やっと会うことができた。

だけど、先ほどまであった私の魂はもうそこにはない。

あるのは、段々と顔が青ざめていき、徐々に冷たくなっていく小さな体。

「……っ……」

罪悪感と悲しみに苛まれて、お母さんは泣き崩れる。

命の終わりに立ち会った先生も看護師さんも誰も一言も発することなく、お母さんを見守っている。

先ほどまで、私は確かに生きていた。

お母さんのお腹の中で生きていた。

なのに、1つの選択によって私の命が奪われた。

これじゃあ、手足を動かせられない。

産声を上げて、お母さんを笑顔にすることができない。

ただただお母さんの喚き声が重苦しい部屋に響き渡る。

……ねぇ、お母さん。

呼んでも届かないことは分かってる。

でも、呼ばずにはいられない。

どうしても、伝えたいことがあるから何度も何度も心の中で叫ぶ。
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