天下無双なヴァンパイアは番を探し続ける

5 気まずさ

今日、一日中、ずっと神牙さんを避けていた。


「……お前、ほんとに俺を無視する気か?」


声が、耳のすぐ後ろに落ちた気がした。

背筋がゾクリとする。瞬間、全身に冷や汗がじわっと広がるのを感じた。


……そして、視線を向ける勇気なんて、持ち合わせていない私は「トイレっ──」と叫んで教室を飛び出した。

周りの目を気をしている場合じゃない。


全力でトイレに向かう。そして、洗面台で止まり、台に手を置いて体を支える。


ていうか! いやいや、まず、あんたが昨日『俺に関わるな』って自分で言ったじゃん!?

だから、こっちは全力で頑張って無視してるのに、なんで今更、声かけてくるの!?


……もう、わかんないって!

私、明日からどうしよう……。


しかも、よりによって、同じクラスか……。

大きなため息が出そうだった。


◇◇◇


ようやく、放課後になって、ずっとモヤモヤと気まずさを抱えたまま昇降口へ向かうと、チャラい人たちが私に絡んできた。

怖くて、体が強張ってしまう。


「ねぇ、君、白城沙音だよね?」

「中学棟の一年にヴァンパイアにも劣らない美貌を持つ子がいるって聞いたけど、想像以上にきれいでびっくりした!!」

「笑ってみてよ」


……また、嫌なことに巻き込まれた。

学校が違ったら、きっとなくなるって思ってたのに……。


こういう場って、相手の逆麟に触れてしまうとダメだから、怒ったり、言い返したりするのは苦手で。

できればただ静かにしていたいのに。


「良かったら、連絡先教えてよ」


そう口々言いながら、数人の男子が、沙音の周りにじわじわと近づいてくる。
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