天下無双なヴァンパイアは番を探し続ける
もらった地図を見ながら進む。たどり着いた場所に思わず圧巻された。


でかいっ……。


ドアは私の二倍大きく、木材に彫刻された扉を開ければ、そこには広い空間が広がっていた。


古風なシャンデリアが吊るされた天井の下に、床は赤い絨毯、本棚は木目の美しい飾り彫り。


まるで、木の森に迷い込んだ気分だった。


すべてのものに時代を感じさせる。


私は完全下校時刻までずっと、本で出来た迷路を探索した。


暗くなり始めた空を見上げながら、再び校門に向かう。


入学式のあとの人だかりはもう無くなっていて、さっきよく見えなかった校門がとても広く感じた。


校門を出る直前に誰かの声があたりに響いた。


「おい」


別の誰かに声を掛けたのだろうと思い、私は気にしなかった。


「……って、ったく、気づかねぇのかよ。お前だよ、てめぇだ。白城沙音!」


自分の名前が出てきた事に驚き、振り返る。


そこに居たのは、予想を超えた人物だった。


──神牙さん

なぜここに? ……私っ、なにかやらかした?


勝手に図書室に入ったのがダメだった……?


「すみません。なんでしょうか」


自分の口から出たのは自分でも驚くぐらいの、落ち着いた声だった。


神牙さんは待ちわびたように口を開く。


「ようやくかよ……。単刀直入に言う。俺に関わるな」


それだけ言うと神牙さんは校舎の影に吸い込まれるように、姿を消した。


え……っと、言われなくても平凡な生活のために関わるつもりはありませんが……?


突然の宣言に、私はただ戸惑うしかなかった。


その後姿を見ながら、ズギリと胸のあたりが痛んだ気がしたが、私にはよくわからなかった。
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