コンビニからはじまる最後の恋
ふいに顔を覗き込まれてドキッとする。
黒縁めがねの奥から、綺麗な茶色い瞳が私を見つめていた。

「俺のこと、思い出して」

……トクン……

「……が、頑張ります……」
「では、引き続きよろしくお願いいたします」

ふわりとした微笑みを残し、結川さんが会議室を後にする。
一人になっても、私の鼓動はいつまでもトクトクと高鳴り続けている。

(いきなり顔が近づいたから驚いただけ! きっとそう……)
(別に意識なんてしてない)

なんとなく頬まで火照ってきたような気がした私は、そう自分に言い聞かせた。






「いらっしゃいませ~」

その日の帰り。少し早めに仕事を終えた私は、いつものコンビニにいた。
特に何かを買う目的があるわけではなく、なんとなく立ち寄っただけ。
深夜のコンビニとは違い、会社帰りのサラリーマンやOL、学生たちで賑わっている。

同じお店なのに客層が異なると雰囲気が違う。
レジ横にあるホットスナックのケースは、深夜帯の2倍以上の揚げ物などが並んでいた。


「あれ、宮本さん?」
「え?」

驚いて振り返ると、結川さんがふんわり微笑んだ。
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