私は死亡者

訪問者

闇は、異常なくらい濃かった。
足音がひとつ、またひとつと近づく。

私と沙耶は、息を殺して固まっていた。

やがて、その“何か”がすぐ目の前まで来たとき——
スマホの画面が通知で一瞬だけ光り、影の輪郭を照らし出した。

黒いコート。
長身。
顔は……暗がりのせいか、異様にのっぺりとしている。

沙耶が震える声で囁いた。

「……あの男……あいつ……!」

影の男は何も言わず、ただ私の方を向いて立っていた。
その顔だけは、絶対に見せまいとでもするかのように暗がっている。
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