私は死亡者
まるで“病院の中”には入れないかのように。

私は胸騒ぎを覚えながらも、遼がいる場所へ向かった。

エレベーターの前には看護師が立っていた。
奇妙なほど無表情で、私たちを見て目を見開いた。

「……美鈴さん……?
あなた……確かに……」

「私の遺体を見たんですね」

看護師は言葉を詰まらせながら、震える声で言う。

「確かに……いました。
でも翌朝、遺体安置室から完全に消えてて……
防犯カメラにも写ってないんです。誰も出入りしていないのに……」
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