私は死亡者

帰還の息

眩い光が私を包む。
身体が重くなる。
肺が痛む。
心臓が動く。

——息ができる。

私はゆっくり目を開けた。

病院の床。
遼と沙耶が私の名を叫ぶ。

「美鈴!!」

私は息を呑む。

生きている。
本当に。

遼が泣き笑いで言う。

「戻ってきたんだな……!
本当に……!」

沙耶も泣きながら抱きしめてくれる。
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