双子王子の継母になりまして ~嫌われ悪女ですが、そんなことより義息子たちが可愛すぎて困ります~4

 ルイゾン様はこれ以上ないと言っていいくらいの笑みを静かに浮かべ、膝を折る。目の高さを合わせてから、ロベールの頭にポンと手を置いた。

「全部、見ていたとも。立派だったぞ」

 ロベールの顔がぱあっと輝く。

 さっき頑張って炎を出した小さな手が、満足そうに握りしめられた。

 ルイゾン様は小さく頷いてから、ゆっくりと立ち上がる。

 そして、マルセルにも声をかけた。

「マルセルも見事な解説だったな。あそこまですらすら言えるようになるには、かなり勉強しただろう」

 腰を屈めて、マルセルの頭の上にもポンと手を置く。

 マルセルの青い瞳が揺れるように潤んでから、微笑みに変わった。

「はい! わたし、がんばりました! ロベールががんばっているから」

 ドゥードゥー先生がそっと付け足した。

「マルセル様は、ご自分が知識を身につけることでロベール様の補佐ができるのではないかと考えていらっしゃるようです。ロベール様は、そんなマルセル様の気持ちに報いるためにも練習に励んでおいででした」

 私とルイゾン様はそれを聞いて、目を見開く。

「そうだったのか」

「……ふたりとも頑張っているのね」

 ロベールとマルセル、類を見ない銀髪の王子たちはお互いへの思いやりで適性を発揮しているのだ。

 ――泣いてしまいそう。

 健気に取り組むふたりの姿に、胸がいっぱいになる。

「ロベールの使える魔法はこれで全部なのだろうか」

 ルイゾン様の質問に、ドゥードゥー先生は意味ありげに口角を上げた。

「さすがですね、陛下」

 なにがさすがなのかわからない私をよそに、ドゥードゥー先生は続ける。

「現時点では、これが全部、とだけお伝えします。ですが、これらの魔法をこの年齢でこのレベルで使えるだけでも稀有です」

 ――まさか、ルイゾン様はロベールには魔法の他に特殊能力があると考えているの?

 ロベールもマルセルも生まれた時はまったくの魔力なしだった。ロベールが魔法を使いこなせるようになったのも、マルセルが魔草に関する特殊能力を発揮できるようになったのも四歳を過ぎてからだ。

 これほど使いこなせるようになっただけでも素晴らしいと思っていた私は、ルイゾン様とドゥードゥー先生のやり取りをただ聞いていることしかできなかった。

 しかし、驚いたのはロベール本人も同じだったようだ。

「これだけじゃないんですか?」

 不思議そうにドゥードゥー先生を見上げて問いかける。その隣でマルセルが、ちょっと心配そうにロベールを見つめていた。

「攻撃系の火魔法と風魔法、あるいは防御系の水魔法と土魔法のどちらかを使えるのが一般的ですが、まれに両方使える方もいます。ロベール様のように、火、風、水、土の全部を使える方は大変珍しい。まあ、今この場にふたりもいらっしゃいますけど」

 ドゥードゥー先生はそう言って、私とルイゾン様に微笑みかける。

「血筋から考えても、ロベール様は四大魔法と、それ以外になにか使えると思って間違いないでしょう」

「つまり、特殊能力か?」

「そうとは限りません。解呪魔法や光魔法のように、それほど使い手は多くないけれど特殊能力ほどではない魔法かもしれません」

 ルイゾン様の『観察眼』や私の『予知』は、それぞれ金髪と黒髪ゆえの特殊能力だった。

 それ以外の人は大体、攻撃魔法に特化した赤系と、防御魔法の茶系の髪色をしている。

 ルイゾン様が小さく息を吐いた。

「銀髪のロベールがどんな能力を発揮するのか、まだわからないということか」

「そうです。ただ大事なのは」

 ドゥードゥー先生が膝を折ってロベールとマルセルふたりに視線を向ける。

「魔法を楽しむ心を忘れないでいてほしいってことです」
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