【コンテスト用シナリオ】完全無欠の生徒会長は、自暴自棄な脱力系男子に溺愛される
第三話:瞳と変化
〇数日後、体育館での体育の授業中
体操服(Tシャツにハーフパンツ、高めのポニーテール)を着たひかりは華麗なバスケットボールさばきを見せている。夜斗は体育館の端に座りその様子をながめている。
ホイッスルがなり、ゲームが終わる。生徒たちが入れ替わるが、夜斗はそのまま動こうとしない。
ひかり「ちょっと、コートに入りなさいよ」
ひかりが咎めるも、夜斗は言うことを聞かず、だるそうにただ座っている。諦めてひかりが離れようとすると、夜斗もその後ろをついてく。
夜斗「どこ行くの」
ひかり「トイレ! あっち行って!」
二人のやり取りに、周囲のモブ生徒は「またか」と呆れ顔や微笑ましい顔で見守っている。
〇放課後、生徒会室、定例会議中
ひかり(結局、みんな私が白堂くんに告白したって思っている)
状況のせいで虚偽の噂が広まってしまい、動きづらくなったことを悩んでいる。
ひかり(別れたら別れたでまた変な噂が立ってしまうだろうし……そもそも彼はきっと地の果てまで追いかけてきそうだわ。うぅ、どうしたらいいの)
会計「以上で報告を終了します」
会計(眼鏡の地味な女子生徒)がそう言うと、ひかりがはっと我に返る。
ひかり「報告ありがとうございます。では、今日の議題は全て終了しましたので、本日は以上とします」
こんなことではいけないと自身を奮い立たせながら、飲み物を買うべく生徒会室を出ようとすると、生徒会室の扉の横に座って待っている夜斗がいる。
ひかり「白堂くん!? どうしてここにいるの」
夜斗「終わるの待ってた」
ひかりと夜斗が言い合っている後ろを通り、そそくさと去っていく生徒会メンバー。
ひかり「私はまだ帰らないわよ」
ひかりの忠告を夜斗は例のごとく無視し、1Fの自販機に向かうひかりの後をつける。
飲み物を買ってもう一度生徒会室に戻り、机に積まれた大量のファイルを開くひかり、その隣に座る夜斗。
夜斗「何の仕事?」
何を言っても聞かないだろうと悟ったひかり、諦めて深く溜息を付く。
ひかり「十年分の生徒会議事録と部費の収支表をデータで保存しているの。去年までは全部手書きで管理されていたから見づらいし、探そうとしたら時間が掛かっちゃうから」
傍らに閉じていたノートパソコンを開き、ファイルを見ながら打ち込んでいく。
その様子を横で眺めている夜斗。
ひかり「……そこで見てるだけのつもり?」
ひかりが横目でじろりと夜斗を見る。
夜斗「手伝ってほしいならそう言えば?」
ひかり「なっ、違うわよ! 早く帰ればって言ってるの!」
動じず、頬杖をつく夜斗。
夜斗「ひかりの側にいたいから帰らない。ずっと待ってる」
しれっと口説く夜斗に、ひかりはぐっと押し黙る。
ひかり「……勝手にすれば」
黙々と作業を続けるひかりと、何もせずにじっと眺める夜斗。ひかりは時々夜斗の方を見る。
ひかり(実は一途、なのかしら)
マイペースで何を考えているかよくわからないが、自身への執着は一貫していることに対し不思議に思い、作業を続けるひかり。
〇下校時刻間近
ひかり「ふぅ、終わった……!」
作業が終わり、ほっと一息をつくひかり。外はもう暗い。
ひかり「これで来月の『報告会』もばっちりね」
『報告会』とは、三カ月に一度行われ、生徒会が校長や教頭をはじめとする教師陣に日々の生徒会の活動を報告する会である。生徒会自治を重んじる灰嶺学園では生徒の裁量が大きいので、定期的に教員とのコミュニケーションの場が設けられている。
ひかり「あれ……」
隣にいた夜斗が座ったまま腕を組み、目を瞑っている。どうやらひかりを待ってる間に寝てしまったらしい。
改めて顔をよく見ると大変に整っていて、先日ギャル生徒が言っていた「結構イケメンだから狙ってる子多かったのにね~」という台詞を思い出す。
ひかり「どうして私なんだろう……」
ぽつりと呟くひかり。興味本位で夜斗の顔に触れようと手を伸ばすと、小さく睫毛が揺れる。
ひかり「もしかして起きてるの?」
無言を貫く夜斗、じーっと見つめるひかり。もう一度ぴくりと瞼と、唇が少し動く。
ひかり「……起きてるわね?」
夜斗「寝てる」
しれっと嘘をつく夜斗。
ひかり「嘘つくんじゃないわよ!」
夜斗「何で触るのやめたの、期待してたのに」
ひかり「期待なんてしなくて結構よ!」
ぎゃーぎゃー言い争う二人のやり取りを、生徒会室の外からこっそり聞いている生徒の人影がある(顔は分からず)
〇次の日、昼休み。生徒会室
ひかり「急にどうしたんですか?」
ひかりは生徒会メンバーに呼びされ、生徒会室へ。心当たりが特になく不思議そうな表情。
ひかり以外、生徒会メンバー四人が神妙な面持ちでいる。やがて会計が勇気を振り絞って口を開く。
会計「私たち、生徒会を辞めたいんです」
ひかり「えっ……!?」
突然の申し出に愕然とするひかり。
体操服(Tシャツにハーフパンツ、高めのポニーテール)を着たひかりは華麗なバスケットボールさばきを見せている。夜斗は体育館の端に座りその様子をながめている。
ホイッスルがなり、ゲームが終わる。生徒たちが入れ替わるが、夜斗はそのまま動こうとしない。
ひかり「ちょっと、コートに入りなさいよ」
ひかりが咎めるも、夜斗は言うことを聞かず、だるそうにただ座っている。諦めてひかりが離れようとすると、夜斗もその後ろをついてく。
夜斗「どこ行くの」
ひかり「トイレ! あっち行って!」
二人のやり取りに、周囲のモブ生徒は「またか」と呆れ顔や微笑ましい顔で見守っている。
〇放課後、生徒会室、定例会議中
ひかり(結局、みんな私が白堂くんに告白したって思っている)
状況のせいで虚偽の噂が広まってしまい、動きづらくなったことを悩んでいる。
ひかり(別れたら別れたでまた変な噂が立ってしまうだろうし……そもそも彼はきっと地の果てまで追いかけてきそうだわ。うぅ、どうしたらいいの)
会計「以上で報告を終了します」
会計(眼鏡の地味な女子生徒)がそう言うと、ひかりがはっと我に返る。
ひかり「報告ありがとうございます。では、今日の議題は全て終了しましたので、本日は以上とします」
こんなことではいけないと自身を奮い立たせながら、飲み物を買うべく生徒会室を出ようとすると、生徒会室の扉の横に座って待っている夜斗がいる。
ひかり「白堂くん!? どうしてここにいるの」
夜斗「終わるの待ってた」
ひかりと夜斗が言い合っている後ろを通り、そそくさと去っていく生徒会メンバー。
ひかり「私はまだ帰らないわよ」
ひかりの忠告を夜斗は例のごとく無視し、1Fの自販機に向かうひかりの後をつける。
飲み物を買ってもう一度生徒会室に戻り、机に積まれた大量のファイルを開くひかり、その隣に座る夜斗。
夜斗「何の仕事?」
何を言っても聞かないだろうと悟ったひかり、諦めて深く溜息を付く。
ひかり「十年分の生徒会議事録と部費の収支表をデータで保存しているの。去年までは全部手書きで管理されていたから見づらいし、探そうとしたら時間が掛かっちゃうから」
傍らに閉じていたノートパソコンを開き、ファイルを見ながら打ち込んでいく。
その様子を横で眺めている夜斗。
ひかり「……そこで見てるだけのつもり?」
ひかりが横目でじろりと夜斗を見る。
夜斗「手伝ってほしいならそう言えば?」
ひかり「なっ、違うわよ! 早く帰ればって言ってるの!」
動じず、頬杖をつく夜斗。
夜斗「ひかりの側にいたいから帰らない。ずっと待ってる」
しれっと口説く夜斗に、ひかりはぐっと押し黙る。
ひかり「……勝手にすれば」
黙々と作業を続けるひかりと、何もせずにじっと眺める夜斗。ひかりは時々夜斗の方を見る。
ひかり(実は一途、なのかしら)
マイペースで何を考えているかよくわからないが、自身への執着は一貫していることに対し不思議に思い、作業を続けるひかり。
〇下校時刻間近
ひかり「ふぅ、終わった……!」
作業が終わり、ほっと一息をつくひかり。外はもう暗い。
ひかり「これで来月の『報告会』もばっちりね」
『報告会』とは、三カ月に一度行われ、生徒会が校長や教頭をはじめとする教師陣に日々の生徒会の活動を報告する会である。生徒会自治を重んじる灰嶺学園では生徒の裁量が大きいので、定期的に教員とのコミュニケーションの場が設けられている。
ひかり「あれ……」
隣にいた夜斗が座ったまま腕を組み、目を瞑っている。どうやらひかりを待ってる間に寝てしまったらしい。
改めて顔をよく見ると大変に整っていて、先日ギャル生徒が言っていた「結構イケメンだから狙ってる子多かったのにね~」という台詞を思い出す。
ひかり「どうして私なんだろう……」
ぽつりと呟くひかり。興味本位で夜斗の顔に触れようと手を伸ばすと、小さく睫毛が揺れる。
ひかり「もしかして起きてるの?」
無言を貫く夜斗、じーっと見つめるひかり。もう一度ぴくりと瞼と、唇が少し動く。
ひかり「……起きてるわね?」
夜斗「寝てる」
しれっと嘘をつく夜斗。
ひかり「嘘つくんじゃないわよ!」
夜斗「何で触るのやめたの、期待してたのに」
ひかり「期待なんてしなくて結構よ!」
ぎゃーぎゃー言い争う二人のやり取りを、生徒会室の外からこっそり聞いている生徒の人影がある(顔は分からず)
〇次の日、昼休み。生徒会室
ひかり「急にどうしたんですか?」
ひかりは生徒会メンバーに呼びされ、生徒会室へ。心当たりが特になく不思議そうな表情。
ひかり以外、生徒会メンバー四人が神妙な面持ちでいる。やがて会計が勇気を振り絞って口を開く。
会計「私たち、生徒会を辞めたいんです」
ひかり「えっ……!?」
突然の申し出に愕然とするひかり。