拝啓、愛しのパイロット様
4.5.ショーアップ
 
 誰もがまだ夢の中にいる朝四時。

 寸分の狂いもなくスマホからアラーム音が鳴り響き、由桔也はゆっくりと目蓋を開けた。
 スマホに続けて鳴りだすのは、サイドテーブルに置いた目覚まし機能付きのデジタル時計だ。
 二度寝防止のために複数のアラームをかけるのは、パイロットになってからの習慣だ。
 といっても、由桔也は一度も寝過ごしたことなどない。

(もう朝か)

 うるさく鳴り響くアラーム音を両方とも止めると、眠気覚ましにベッドの上に横たわったまま軽くストレッチを始める。

 身体の調子を確かめつつ、ひとつひとつの動作に取り組み、起床から十分後にようやくベッドから起き上がる。

 カーテンを開けると、空が少しだけ明るくなっていた。

 夜明けを知らせる薄紫色のグラデーションと眩しい太陽は、コックピットから見ても格別だが、地上でもまた違った趣がある。
 どちらも甲乙つけがたい風景だ。
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