拝啓、愛しのパイロット様
(さて。そろそろ出かける準備をするか)
由桔也はカーテンを元通り閉めると、身支度を整えるため洗面所へ向かった。
寝室を出て廊下を歩く際、小町が寝ている書斎の前を通るときには、細心の注意を払う。
ぐっすり眠っているであろう彼女を起こしてしまうのもしのびない。
仕事柄、早朝出勤も深夜帰宅も当たり前で、由桔也は慣れているが小町は違う。
(まさか、自分以外の誰かに気を遣うなんてな)
自分の家なのに、息をひそめて行動していることがおかしくて、思わず笑いが込み上げてくる。
小町と出会ってから訪れた変化に、自分でもいまだに戸惑っている最中だ。
由桔也はその後も小町を起こさないように朝の身支度に努めた。
シャワーを浴び、顔を洗うと、今度は腹ごしらえを済ませるためにリビングに足を踏み入れる。
キッチンにある冷蔵庫からラップに包まれたおにぎりを取り出し、電子レンジで温め直す。
このおにぎりは昨夜、小町が用意しておいてくれたものだ。