拝啓、愛しのパイロット様
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「おはようございます、長田キャプテン」
「おはよう、宇佐美くん」
空港に到着した由桔也がパイロットの制服に着替えショーアップしてからまもなく、同乗する機長の長田誠がやって来る。
四十代の経験豊富なパイロットである長田のシャツの肩口には機長を表す四本線の金色のラインが燦然と輝いている。
ちなみで四本線が機長で、三本線が副操縦士だ。
「今日、一緒の便なんだよね。よろしく」
「はい。よろしくおねがいします」
「ははっ。宇佐美くんと一緒に飛ぶのは去年のあのとき以来かな」
互いに軽く挨拶を交わしながら、ともにアルコール検査をしていく。
BCJには約三千人のパイロットが所属しているが、顔見知りのパイロットが同じフライトを担当する場合は少なく、初対面ということがほとんどだ。
けれど、由桔也は長田と同じ飛行機に乗ったことがある。
あれは忘れもしない昨年の秋、台湾からの帰国便だった。