拝啓、愛しのパイロット様
台湾を出発した機体は順調に航行したものの、羽田空港に近づくにつれ、徐々に天候が悪化してしまった。
結局、地上で激しく吹き荒れる風の影響を受け、羽田空港の上空で待機を命じられる羽目になった。
残りの燃料も少なくなり、他の空港への着陸が濃厚になり始めたころ、風が弱まった隙をついて、ようやく着陸許可が下りる。
しかし、いつまた強風が吹き始めるかわからない。残りの燃料を考えると、羽田への着陸にトライできるチャンスは一度だけ。
空港上空をホールディングしている機内の中では、誰もが着陸の瞬間を今か今かと待ちわびている。
もし失敗したら、他の空港への着陸を余儀なくされ、搭乗しているお客様にも、地上のスタッフにも迷惑がかかるだろう。
安全第一だとはいえ、ダイバートはできるだけ避けたいのがパイロットの本音である。