拝啓、愛しのパイロット様

(由桔也さん!?)

 エアメールの差出人はなんと由桔也だった。
 たしかに、読みやすく惚れ惚れする字体のアルファベットには、彼らしい面影がある。
 これまで漢字とひらがなしか見たことがなかったが、アルファベットも実に小町好みの形をしている。

(見惚れている場合じゃないでしょうが)

 小町はエアメールから無理やり視線を引き剥がし、郵便物をまとめてテーブルの上に置いた。
 それにしても、いったい、いつ、どこからエアメールを送ったのだろう?
 由桔也はエアメールを送ったなんて、一度も口に出さなかった。
(開けていいのかな?)
 いったん寝かせてみたはいいものの、夕食の支度に勤しんでいるときも、ソファに座ってテレビドラマを楽しんでいるときも、エアメールが気になって、居ても立っても居られず落ち着かない。
 小町宛と書いてあるのだから、遠慮せず開けてしまえばいいとも思ったけれども。
 どういうつもりで手紙を書いたのか知りたくなり、とりあえず由桔也の帰りを待つことにした。

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