拝啓、愛しのパイロット様
【社内コンペ開催のお知らせ】
全社一斉に送信されたそのメールのタイトルを目にした瞬間、興奮で心が湧き立つ。
(ついにきた!)
ムーンライト文具の社内で文房具開発に携わるには二種類の方法がある。
ひとつは商品開発部に席を置き、企画会議に参加すること。
もうひとつは不定期で開催される社内コンペで企画書が採用されることだ。
営業部所属の小町が夢を実現させるためには、社内コンペを通過しなければならない。
前回コンペが開催されたときも応募したが、結果はあえなく落選。
次こそは意気込んでいたが、まさかこのタイミングで開催されるとは思わなかった。
(さっそく企画書をまとめなくちゃ!)
小町は改めて気合を入れ直し、デスクに向かった。
コンペに応募するからといって、特別扱いはされない。
通常業務を早めに終わらせ、企画書を練る時間を捻出するしかない。
コンペ開催の知らせを受けた興奮冷めやらぬまま、猛然とキーボードを叩いていく。
小町はそれまでの遅れを取り戻すかのように、数々の事務作業をこなしたのだった。