拝啓、愛しのパイロット様
6.タービュランス
(あと五分!)
社内コンペの締め切り当日。
小町はパソコンの画面の端に表示されている時刻と懸命に戦っていた。
受付終了まであと五分しかない逼迫した状況の中、最後まで誤字脱字などがないか入念にチェックしていく。
(よし!あとは送るだけ!)
最終チェックを終えた小町はと祈るような思いで、応募フォームに必要事項を打ち込み、最後に送付ボタンを押した。
応募受付完了画面が表示されたのは、締め切り一分前。本当にギリギリの戦いだった。
「お疲れさまでした。どうですか?手ごたえのほどは」
締め切りに間に合い安堵のため息をついていると、ちょうど隣のデスクの乾から声を掛けられる。
「まあまあかな」
小町は苦笑いを浮かべながら、あいまいに答えた。
やるべきことはすべてやったつもりだ。あとは大人しく結果を待つしかない。
選考は所属と名前が伏せられた状態で行われる。これまで培ってきた経験や、実績は考慮されず、応募者全員が完全に同じ土俵で争う。
実力主義の厳しい世界だからこそ、選ばれることに価値がある。
(しばらくゆっくりしよう)
小町はうーんと両手を天井に向かって突き上げ、大きく伸びをした。
結果はさておき、今は心地の良い充実感で身体が満たされている。
締め切りから解放され、肩の荷が下りた小町は、仕事もそこそこに定時で帰宅することにした。