拝啓、愛しのパイロット様
(どうしよう……)
なぜもっと大事にしまっておかなかったのだろうと後悔しても、もう遅い。
手紙を失くしてしまったという悲しい事実に、しばらく立ち直れそうにない。
思い悩みながらリビングのソファに腰掛けていると、着替えを済ませた由桔也がリビングにやってくる。
「ワイン?買ってきたのか?」
ダイニングテーブルの上に置かれていたワインを見つけるなり、物珍しそうに手に取り、ラベルをしげしげと眺め始める。
「コンペの受付が終わったので、一緒に飲もうと思って。おつまみも買ってきました」
「よさそうなワインだな。早速開けようか」
由桔也がワインのコルクを開けている間に、小町は買ってきたデリを冷蔵庫から取り出し、皿に移し替えていった。
機械的に動く手もととは裏腹に、心はうわの空だった。
(なんでこんなに泣きそうな気持ちなんだろう)
手紙の紛失を彼に打ち明けないわけにはいかない。
きっと由桔也なら、手紙を失くしたからといって怒ったりしないはずだ。
こういうことを後回しにすると、のちのち厄介な問題に発展すると昔から相場が決まっている。
正直に打ち明けて、さっさと謝ってしまえばいいとわかっているのに。
それでも、小町は手紙を失くしたと口にするのが怖かった。