拝啓、愛しのパイロット様
「乾杯」
「乾杯」
お酒と肴の準備が整うと、ふたりきりの打ち上げが始まる。
互いにグラスを持ち、景気よく縁を合わせるとカチンと美しい音が鳴った。
小町はテーブル並べられたデリには手をつけず、落ち込んだ気分をどうにかして紛らわせようと、ひたすら胃の中にワインを流し込んでいった。
「どうした?今日はペースが早いな」
「無事に応募できたのがうれしくて……」
決して嘘はついていない。がんばって作った企画書を無事提出できた喜びはたしかにある。
だが、それ以上に手紙をなくしてしまったショックが大きくて、自分でもどうすべきか持て余していた。
そんなどこか鬱々としている小町とは対照的に、由桔也は上機嫌で自分のグラスに口をつける。
「小町の考えた文房具が発売されたら、お祝いもしような」
「気が早いですよ。まだ私の企画書が採用されるって決まってませんし……」
小町は小さく笑いながら、先走る由桔也を諫めた。
いくらなんでも、最初から採用前提で話を進められては困ってしまう。
「絶対大丈夫だよ。あんなに文房具が好きな小町が考えた企画書なら間違いないって。ほら、自信持てよ」
由桔也はあきらかにペースの速い小町を気遣い、ワインの代わりにミネラルウォーターを空になっていたグラスに注いでくれた。