拝啓、愛しのパイロット様
(優しすぎるよ)
いつもなら、もっと軽く受け流せたはずなのに、今日ばかりは落ち込んでしまう。
こんな風に優しくされればされるほど、自分の不注意が余計に許せなくなる。
忙しい由桔也がわざわざ時間を割いて書いてくれた手紙を失くしてしまったのが、本当に申し訳なさすぎる。
思いつめるあまり、涙がポロリと目尻からこぼれ落ちていく。
「小町!?どうしたんだ?」
小町の様子に気づいた由桔也は、慌てふためきながらグラスをテーブルに置いた。
コンペの締切に向けて根を詰めていた影響なのか、思いのほか酔いが回るのが早く、感情が昂ってしまったみたいだ。
「な、なんでもないです……」
「なんでもないはずがないだろう!?」
どうやっても涙は一向に止まる気配がなく、適当な言い訳を重ねても、最早誤魔化せそうにない。
こうなった以上、正直に打ち明けるべきなのだろう。
小町はぎゅっと膝の上で拳を握り締め、覚悟を決めた。
「ごっごめんなさい!私、由桔也さんから送られてきた手紙をなくしちゃったみたいで……!」
「手紙?」
「三週間前に行ったニューヨークの分がどうしても見つからなくて……」
小町は書斎からこれまで届いた手紙の束を持ってきて、事の経緯を説明した。
コンペがあって手紙の整理を疎かにしていたこと、書斎中を探したがどうしても一通だけ見つからなかったことまで、洗いざらい話した。
全て話し終えると由桔也は手紙を眺めながら、なにかを考えこむようにうーんと唸った。